議長選挙を3日間で26回

千葉県多古町議会で、臨時会が招集され、3日間で26回も議長選挙をやったが決まらないという異常事態が続いているようです。
報道によると、議員定数が14人で、町長派、反町長派がそれぞれ7人、議長を出したほうの派は、採決時には議長が採決に加われないので過半数を取れなくなる、それを避けるために議長を出したくない、したがって選挙で議長に当選しても辞退し、再選挙……ということが延々と行われているようです。
一言で言うと、「あほ」ですね。何を考えているんでしょうね。議会としての大事な役割は? 果たすべき責務は? そんなのお構いなしに自分たちの都合だけで税金を無駄遣いしているだけですね。久しぶりの記事なので、もう少しましなことを書きたかったのですが、いやはや何とも理解不可能なことで。
いや、事情は分かるんですよ。町長派は町長の出してくる議案を通したい、反対派は通したくない。2つの派で意見が食い違っていて、議長を除く13人で多数決をとれば、議長を出している派の6人が賛成、議長を出していない派の7人は反対、したがって議案は通らないと。逆に、反町長派から議長を出せば、町長派は多数となるので、議案は全て通せる。
まあ、町長派、反町長派で真っ二つになっている議会構成というのが、まず1つ大きな問題としてあるわけですね。でも、それは民意なので仕方がありません。しかし、議会というのは本来そういうところではないのではないでしょうか。町長は1人だけなのに、なぜ議員は14人も選ばれているのか、ということですね。
町長が出してくる議案を幅広い観点からチェックするという議会の目的は、もちろんご存じだと思います。多古町は人口約1万2600人、町政については住民の方もそれぞれいろんな意見をお持ちでしょう。そういう多様な意見を日々の議員活動で丁寧に拾い上げて町政に反映させていく、それが最も大切な議員の仕事で、そのために大勢の議員が選ばれているはずです。
議会というのは、それぞれの議員を支持してくれた人をバックボーンとしながら、議員本人の考えもうまくミックスさせて、その自治体の最大公約数的なベターな案は何かを探る場所でしょう。そのために、議会という面倒くさい仕組みを使って、時間をかけて審議をするわけですよね。
それをまじめにやれば、町長が提案した議案がどんなものであれ、議会でいろいろな調整が入って、より多くの人が満足できるような形のものが出来上がっていくはずです。いや、つくっていかなければなりません。それが議会の仕事です。
そういう調整がうまくできていれば、最終的な採決の段階にはその議案は議員の大半が賛成できる形になっていなければおかしいわけで、「賛否が拮抗するので議長を出したほうが負け」なんていう議案は、本来まだ採決しちゃ駄目な状態なんだと思います。議員のうち半分が賛成しない議案ということは、町民の半数が賛成しない議案と考えてもいいわけですよね。
確かに、議会の最終判断は多数決によって決められることになっています。しかし、賛否ぎりぎりの状態で数の力で押し切ってしまうやり方は、議会としては下の下だと私は思っています。それは某国会でよく見る腹立たしい光景そのものですが、そんな低レベルな駆け引きを地方議会ではやってほしくありません。
国会は無駄に議員が多いので難しいのかもしれませんが、たかが14人の議員、じっくり話し合って少しでもいい道を見つけ、大多数でそれを決定してみんなで後押ししていく、そんな前向きな議会にできないものでしょうか。数で押し切る採決は、私には議会の存在価値をなくす愚行としか思えません。
2025年5月13日の1日限りの予定だった臨時会は、今日(20日)まで会期延長されていますが、今日で決着がつくのでしょうか。町民の方には誠にお気の毒なことです。