奈良市議会で不正採決

奈良市議会で、2025年3月28日、本会議での採決が行われたとき、自民党・無所属の会所属の議員が居眠りをしていたので、隣に座っていた議員が代わりに採決ボタンを押すということがありました。同じ会派の議員だから賛否は分かっているので代わりに押してやろうという軽い気持ちだったのかもしれませんが、これは重大なルール違反になりますね。
その場で寝ている議員を起こしてボタンを押させれば何も問題はなかったわけですが、代わりに押すとどういうことになるかを深く考えなかったのか、あるいは採決の瞬間に寝ていのるに気がついて焦ったのか、その辺は分かりませんが、選挙で得た「議席」というものの最も重要な「採決権」に関わることですから、これは問題になるでしょう。
議会では懲罰委員会を設置して処分を決めるようです。参議院では、2010年に青木幹雄議員の代わりに隣に座っていた若林正俊議員が採決ボタンを押して問題になったことがあって、結局、若林議員は辞職しましたね。まあ、そのときは青木議員が議場にいなかった間の採決全てでボタンを押していたということで、より重罪ではありますが、今回の件も決して軽い問題ではないでしょう。
奈良市議会では、昨年の12月議会から電子投票システムを使用し始めたようで、この3月の議会は2度目。議員の側にも不慣れな部分、よく理解できていない部分もあったのだろうなと、多少同情はしますが、それよりも何よりも、本会議で採決が行われる瞬間に寝ていたというのは、やはり論外でしょう。起きていられないほど体調が悪いのなら議員など続けてほしくないですし、気が緩んでいただけというなら、それはそれで緩み過ぎでしょう。
まあ、処分は懲罰委員会の判断を待つだけですが、報道で気になった表現は「数時間後に投票結果が修正された」というところ。これは、本会議でそのような旨の議長発言でもあったのでしょうか? 賛成者が過半数いるかどうかを確認するのが普通の採決ですから、可否同数などの際どいもの以外は、その1票で結果がどうこうなることはありません。会議録を見ても、賛成〇人、反対〇人と数字を議長が発言しているわけでもありません。なので、どこで、誰が、どんな方法で修正したんだろう?と、素朴な疑問がわきました。
今回の件は、その1票で議案の可決・否決がひっくり返るようなものではなさそうなので、まだよかったですね。これがその1票で議決結果が違ってくるなら、一体どういう処理になるのか、これはなかなか厄介です。「一事不再議」の原則があるので、1回採決した議案は同じ議会ではやり直しできませんから、臨時会でやるか。でも、3月28日に起こったことなので、臨時会を3月中にやらないと新年度予算が成立しない。再議の特別拒否権でやるにしても同じですね。危なかった……。